白夜行 完全版 DVD-BOX
堤幸彦の抜けた穴
傑作と呼ぶには程遠い。
脚本に重大な欠陥がある。
確かに亮司と雪穂の描写だけなら観る者の心を捉える力が非常に強くかなり出来がいい。
特に重大な犯罪を犯した後の亮司の描写は、今迄観たどのドラマよりも優れている。アドレナリンで普通以上にエネルギーを燃焼し尽くした肉体的疲労と良心との戦いで疲れ果てた精神的疲労が素晴らしい。
他の作品では、肉体的な疲労と精神的な消耗の描写は1975年の再現ドラマ『パニック・イン・テキサスタワー』で犯人を射殺した警官位しか記憶にない。
ルビコン川を越えた後の亮司の心の荒廃は大変説得力がある。観ている者は亮司が犯罪を繰り返す理由を分かっているから切なく悲しく愛しく、おまけに怒りまで感じ心を鷲掴みにされる。
そして当たり前の事の様に脚本のト書きを正確に表現する山田孝之は、今回も大変素晴らしい。
「犯罪は金にならない」をこれ程雄弁に物語る場面を観たことがない。
柴咲コウの主題歌もいい。
だが綾瀬はるかの演技辺りからこのドラマは出来が怪しくなる。悲しく愛しい雪穂については文句無いが、不運への怒りや心の傷が弱い。
「力が抜けた」時の目の表情が11歳で大変な経験をした雪穂ではなく、どう見ても自分の幸運を知らない普通の人の目。
亮司と「対になる棘たち」になってない。
笹垣を演じる武田鉄也は良い。特に低く重い声は不運に流される亮司と雪穂と違い正義感に満ち地に足を付けてる。
だが顔を背けてほくそ笑む演出が多く興醒め。
そして第七話で雪穂を事情聴取中に殴る場面で脚本が破綻しこのドラマは完全に失敗。この時点で笹垣が暴行で現行犯逮捕にならないはずがない。
堤幸彦が抜けた穴を埋められなかった。
それでも、好きなドラマ。
ベテランと若手のキャストとスタッフに乾杯!!!!!!!
原作は東野さんによるものです。
実をいうとリアルタイムで見たときはこのドラマをあまり好きになれませんでした。
原作から推測した雪穂像に綾瀬さんの雪穂に違和感を感じたからです。
山田さんの亮司はもっと違和感がありました。
2人の子役さんたちが圧巻の演技だったのも理由の一つでした。
これは脚本と演出のミス!と勝手に思いながらも見続けました。
でも、私の勝手な思い込みは外れていました。
やはり2人はすごい役者さんでした。
平川さんと片山さんという名監督のもと、どんどん亮司と雪穂に変わっていったのです。
山田さんは若手では屈指の役者さん、綾瀬さんは私の中では宮崎あおいさんと並んで、ドラマと映画を牽引するくらいの女優さんです。
このドラマの素晴らしい所は、そんな若い役者さんたちを支えるベテラン役者さん(武田鉄矢さん、八千草薫さん、渡部篤朗さんなど)の息のあった演技です。
それにもまして拍手を送りたいのが、役者さんたちのいいところを思う存分引き出したスタッフさんたちです。
ところで、このドラマで演出補佐として高橋正尚さんがいますが、高橋さんは「魔王」ではチーフプロジューサーでした。
「白夜行」ではなんだかなぁ?と思いましたが(ごめんなさい)あれから成長なさったんですね。ほほえましかったです。
東野さんの作品は今大人気で、一味違う形で作られたり、コミカルにリメイクされていますが、やはり王道で作られているものはいいですね。
一度、ご覧なってください。
全てに感動しますよ!!!!!!!!
綾瀬はるかさんの全て包み込む込んでしまうような存在感が素晴らしい
綾瀬はるかさんは素晴らしい女優さんですね。
綾瀬さんという清濁呑み尽くす、または全てを包み込んでしまうような存在感を持った、器が大きそうで、それでありながら繊細で清潔感のある女優さんを主役に据えたことで成功したドラマですね。悪いことをしていながら透明感を失わなずにいられるのは、ひとえに綾瀬さんの個性によるものでしょう。正義漢ゆえに手段を選ばない元刑事の方が悪役に見えたほど、綾瀬さん演じる雪穂を応援してしまいました。
もう一人の主人公である山田孝之さんも、顔立ちが暗く、役柄にとても合っていて、現実離れした筋立てにリアリティを与えていました。
そして、もう一人素晴らしいのが綾瀬さんの役の子供時代を演じていた女優さんです。
綾瀬さんともども汚れ役なのに、とても清冽な印象のある、美しい日本の少女といった風情で重い役を演じきっています。幼いながら初恋の相手を懸命に守ろうとするのがいじましく、まるで聖母のような存在感でした。涙なくしては見られません。
これら三人が演じたからこそ、白夜行は美しく悲しいドラマに仕上がっているのだと確信しております。

水着